製品ライフサイクル(導入期)と知的財産

製品ライフサイクル

製品ライフサイクルとは、製品が生まれてから市場に出て、市場から撤退し衰退するまでの一生を表しています。一般的には、製品単価は時間とともに緩やかに経過しますが、製品売上高は、緩やかな山なりのカーブを描きます。

以下では、製品ライフサイクルの導入期における知的財産権の考え方について解説します。

導入期

導入期は、製品ライフサイクルの初期段階です。このときは、売上も少なく製品も世にほとんど知られていない状況です。製品開発費・宣伝広告費等を考えると、当然事業は赤字となります。

マーケティング

導入期の主な顧客は、新製品や革新的な商品に興味を持ちやすいイノベーターとなります。イノベーターの数は少ないため必然的に売り上げも少なくなります。革新的であるほど、競合との製品争いもなくなります。製品単価は、最も高くなります。

プロモーションとしては、ターゲットを絞って宣伝広告活動を展開することが良いでしょう。この段階では、マス広告等は費用対効果が低くなってしまいます。

例えば、クラウドファンディングによるテストマーケティングを活用することによって、代理店・取次店等の流通業者が興味を持ち、大手の会社からの引き合いがくるということもあります。クラウドファンディングを利用している人は新しい製品が好きな人が多いため、イノベーターの存在率も高くなります。

知的財産

特許や意匠等の知的財産権は、原則として公開後は出願できないため市場にリリースする前に手続きを完了させておく必要があります。例外的に公開から1年以内は出願が可能ですが、外国に出願することができない可能性がある等の弊害があります。

特許の出願が完了した後であれば、製品を販売することができます。もし、製品に機能追加・改良を行った場合は、出願日から1年以内であれば、特許出願に新たな機能・構造の追加を行うことができます。これにより、包括的な権利化を図ることが可能となります。

外国に出願を検討している場合も、日本の出願日から1年が期限となります。複数の外国への移行を行う場合には、費用を安く抑えるために1年以内に国際特許出願を行うというケースが多いです。

製品名の商標出願についても、この段階で行っておくことが望ましいです。万が一、同一の名称が既に商標登録されていた場合には名称変更が必要ですが、販売数が少ない段階であれば負担も小さく済みます。後のステージである成長期で大量生産に踏み切った後に名称変更となった場合には、費用負担が大きくなるとともに名称変更による顧客離れ、権利者からの損害賠償リスクがあり事業へのダメージが大きいです。

商標については、公開した後であっても出願することが可能です。また、商標の更新費用を支払うことによって永続的に権利を保持することができます。