製品ライフサイクル(成熟期)と知的財産

製品ライフサイクル

製品ライフサイクルとは、製品が生まれてから市場に出て、市場から撤退し衰退するまでの一生を表しています。一般的には、製品単価は時間とともに緩やかに経過しますが、製品売上高は、緩やかな山なりのカーブを描きます。

以下では、製品ライフサイクルの成熟期における知的財産権の考え方について解説します。

成熟期

成熟期では、製品の売上高がピークとなりますが、価格も市場の競争に応じて低下するため利益を向上させることが難しくなります。主な顧客は一般需要者となるため、多様なブランドモデルを展開して競合との差別化を図ることが重要になってきます。

マーケティング

シェアトップの企業にとっては、規模の経済性や経験曲線効果を活用して低コストによるシェアの維持やブランド多様化によるブランドスイッチによるシェアの維持・拡大を行います。市場における相場はほぼ確立されているため、自社の製品を購入してもらうために積極的な割引キャンペーン等を行います。

他方、下位の企業はニッチな市場を開拓して特定のターゲットに絞ったマーケティング戦略が必要となってきます。このときは、競合と争わくても良いポジショニングが大事になってきます。

最近では、製品やサービスにストーリー性を持たせる、疑似体験をさせて感情を揺さぶるようなマーケティング戦略があります。市場によっては価格や機能のみでの差別化が難しいため、このようなストーリーマーケティングを行っています。

知的財産権

既に市場は成熟しているため、競合のシェアを奪うためには機能面やブランド面による差別化が必要になります。このとき、競合に簡単に模倣されないように特許権や意匠権の取得が重要となってきます。

近年は、プロダクトデザインによる製品の差別化が広く行われており、製品の全体の外観形状は意匠権による保護が考えられます。製品の一部のみが非常に特徴的である場合には、部分意匠によりその特徴的な部分のみ保護を受けることができます。

また、製品のラインナップが豊富であって似た外観の製品が複数存在している場合は、関連意匠により包括的な権利化を図ることができます。

機能面によって製品の差別化を図る場合は、特許権が有効です。製品の構造、ソフトウェアによる付加サービスの提供等で特許を取得することにより製品・サービスを保護します。このとき、競合他社も多くの特許・意匠を出願しているため、他社の特許権や意匠権を侵害しないように留意します。

新ブランドの商標権の取得も、忘れずに行っておきましょう。