製品3階層と知的財産権

階層

製品3階層とは、マーケティングで使用される用語であり、製品を3つの階層に分けて考えるフレームワークです。この場合の製品とは、有体物としての物だけでなく、無体物であるサービス提供も含めた概念となります。

各階層は、以下のように定義されます。

  • 中核
  • 製品(形態)
  • 付随機能

製品の核

製品の核とは、顧客が得ることができる中核的なベネフィットです。つまり、顧客がその製品を購入するときに最も重視することです。

高級外車であればステータスや周囲からの注目などをベネフィットと考えるかもしれませんし、ミニバンであれば乗り心地や車内空間をベネフィットと考えるかもしれません。このベネフィットは、人によって異なりますし目に見えるものではありません。

製品開発を行う際には、この中核となるベネフィットをイメージしてしっかりと定義することが重要となります。

製品の形態

製品の形態とは、ブランド、パッケージ、機能・品質、デザイン等となります。製品の形態は、核となるベネフィットの定義に基づいて決定されます。

ブランド・パッケージと商標権

製品のブランドは、商標登録によって保護することができます。他の製品と差別化を図るためにブランド力の強化は必須であり、安易にブランドをただ乗り(フリーライド)されないようにしましょう。

ブランドには、ブランド・エレメント(ブランド要素)として以下があります。

  • ネーム
  • マーク
  • パッケージ
  • スローガン
  • キャラクター
  • ジングル(音)

このいずれにおいても、商標によって保護することが可能です。例えば、「インテル入ってる」の音や消しゴムのMONOの色は、商標登録によって保護されています。特定のブランドが複数のブランドエレメントで構成されている場合には、包括的に商標取得することが重要です。

デザインと意匠権

デザインは、意匠権によって保護することができます。製品の外観デザインだけでなく、パッケージデザインについても対象となります。ただし、パッケージデザインがブランド化している場合には、立体商標という商標権を取得したほうが望ましいです。意匠権は登録から25年となりますが、商標権は永続的に維持することが可能だからです。

意匠権として登録されると、競合は同じ又は類似した外観の製品を販売することが出来なくなるため、製品の一層の差別化を図れます。

製品の外観の一部が特徴的であるという場合は、部分意匠という形態で製品の一部を保護対象とすることができます。また、似たような外観の製品ラインが存在している場合には、関連意匠ということで包括的な保護を受けることができます。

機能と特許権

製品の機能は、特許権で保護することができます。例えば、単なる蛍光灯ではなく、電気ポットのON・OFFをサーバに送信して一人暮らしの老人の生存確認を行う見守りシステムである場合は、その機能で特許を取得することができます。

特許権の取得により、競合が同様の機能を持った製品を販売することが出来なくなるため、競合との差別化を図り、市場シェア獲得を優位に進めることができます。

付随機能

付随的機能とは、製品そのものに付随する保証、アフターサービス、支払や配送方法、になります。サービス的な側面については、特許等で保護することができません。つまり、3年保証を10年保証にしたからといって、特許を取得することはできません。

アフターサービスの名称や支払いシステム(〇〇PAY等)については、商標を取得している場合があります。アフターサービスの顧客管理方法で非常に独自性の高いシステムを構築したという場合には、特許を取得できる可能性があります。