商標出願前に検討すべき3つのこと
商標の検討
事前の調査
出願すべき商標が決定したら、類似する商標が登録されていないか、事前の調査を行います。調査の結果、登録が難しいと判断した場合には商標の変更が必要になるケースもあります。登録されている商標と類似であって、既にその商標を使用している場合には、商標権の侵害になります。
既に登録されている他人の商標を使用するためには、相手の商標を潰すか、許諾を受けるしかありません。最悪の場合は、商標の変更も視野に入れておく必要があります。
【関連ページ】登録されている商標を使用したい
既に使用していて広く知られているネーミングがあれば、これを考慮しましょう。他社との差別化を図り新たなブランドを構築するための商標なので、他社と似たネーミングは避けましょう。
どの態様で出願するか?
商標登録出願は、以下のような態様があります。
- 文字のみの商標(標準文字)
- 文字+図形
- 図形のみ
- 立体商標(3次元の図形)
- 音
- 動き(ホログラム)
- 色彩のみ
上記のうち、いずれの態様で出願するかを決定します。通常は、自らが使用する形式で出願します。ロゴと文字とが組み合わされて使用される場合には、文字+図形で出願を行います。
【関連ページ】どの商標で登録すべき?
指定商品・指定役務の検討
指定商品・指定役務とは
指定商品・指定役務とは、商標をどこに使用するかを特定するものです。指定商品が「電子計算機」で商標が「マイクロソフト」であれば、パソコンに「マイクロソフト」という商標を用いることを示します。指定役務が「宿泊施設の提供」で商標が「ホテルオークラ」であれば、ホテルの名称に用いるということです。
先の事前調査の際には、指定商品・指定役務が決まった段階で行います。類似する商標が登録されていても、指定商品が全く異なる場合には商標登録を受けることができます。商標と指定商品・指定役務は、かならずセットで考えてください。
区分と費用
指定商品・指定役務は、特許庁によって45種類に分類されます。このうち、いくつの区分に出願するかによって費用が変わってきます。区分を増やすほど、特許庁に支払う費用及び特許事務所に支払う費用が増加します。
複数の区分に出願する場合とは、ある商標を「アクセサリー」と「洋服」に使用したいときには「第14類 アクセサリー、貴金属」と「第25類 被服、服飾小物」として2つの区分で商標登録出願を行います。
【関連ページ】商標登録の出願・維持にかかる費用
特許庁 手数料一覧
使用の態様
どのように使用するのか?
商標を指定商品に対してどのように使用するのかということです。ホームページに掲載する、包装紙に印刷する、お店の看板に掲げるなどです。例えば、お寿司屋さんで寿司を提供するとともに、持ち帰り寿司も行っている場合には、「第43類 飲食物の提供」と「第30類 寿司」について商標登録する必要があります。
実際に商標を使用していたとしても、法律上の使用とは認められない場合があります。例えば、書籍のタイトル・CDのタイトルや曲名についても使用とは認められません。問題となるのは侵害の場面であって、このような使用態様の場合には、他人が登録されている商標を使用していたとしても商標権侵害で差止等を行うことができません。
3年間使用していない商標は、他人から不使用取消審判を請求される可能性があります。商標の使用が商標的な使用態様に該当しているかも確認しておいてください。