意匠出願について

事務用品である印鑑、テプラ、朱肉、定規、コンパス、カレンダー、クリップ、綴じ具等のデザイン・外観形状を保護するためには、意匠登録出願が有効です。意匠登録出願は、製品販売前、プレスリリース前に行う必要があります。公表後であっても、新規性喪失の例外の手続きを行うことにより、公開日から1年以内であれば出願が可能です。

ボールペンの一部が特徴的である場合、具体的には、ボールペンのグリップの形状に特徴があってそれ以外には特徴が無いためグリップの形状のみ権利化したい場合、部分意匠としての権利化を図ることが有効です。部分意匠の場合は、グリップの一部を特定して権利化を図ることもできます。

ボールペンのグリップの部分意匠の審査では、グリップの形状に基づいて審査が行われるため、それ以外の部分の形状が異なってもグリップの形状が同一又は類似の登録意匠が存在する場合は、登録されません。他方、権利範囲はグリップの形状で特定されるため、その他の部分の形状には左右されません。つまり部分意匠は、審査は通り難いが権利化できれば強い権利となります。

事務用品の種類と分類

事務用品の印鑑、テプラ、朱肉、定規、コンパス、カレンダー、クリップ、綴じ具等の意匠分類は、以下の通りです。

  • F2-2210 印鑑、印判、刻印器、印判ケース、印鑑ケース
  • F2-22600 テーププリンタ、ラベルプリンタ、テプ印字機
  • F2-22910 スタンプ台、朱肉入れ、朱肉
  • F2-3100 定規、スケール、円定規、三角定規、ものさし、テンプレート
  • F2-331 コンパス、写生用コンパス
  • F2-410 カレンダー、卓上カレンダー、カレンダー用台紙
  • F2-600 バインダー用金具、ファイル用金具、綴じ具、ファイル用綴じ具、
  • F2-632 クリップ、コーナークリップ、事務用クリップ、カードホルダー

例えば、ボールペンのグリップ部分に特徴がある場合、ボールペン全体の意匠でグリップを部分意匠として出願することも、ボールペン用グリップとしてグリップだけを出願することもできます。どちらで出願すればよいかは、市場に流通する場合にどのような状態であるか、又は取り換え可能か等を考慮します。具体的には、ボールペンとして流通する市場においてグリップのみを権利化したい場合は、ボールペンの意匠でグリップのみを指定した部分意匠として出願します。逆に、ボールペン用グリップ単体で市場に流通する場合には、ボールペン用グリップとして権利化を図ります。

出願に必要な書類等

意匠登録出願は、事務用品の図面又は写真で形状を特定します。従って、意匠登録出願を行う際には、事務用品の具体的形状が分かる写真、図面、又は現物が必要となります。出願から登録までの期間は、通常8~10か月ですが状況によって多少前後することがあります。

意匠登録出願から登録までの費用については、特許事務所によって異なりますが、概ね15~25万程度と思われます。弊所料金は、出願から登録までで概ね20万程度となっております。詳細については、こちらでご確認ください。

意匠登録の効果

意匠登録されることで、登録された事務用品である印鑑、テプラ、朱肉、定規、コンパス、カレンダー、クリップ、綴じ具と同一又は類似の商品を販売した第三者に対して差し止め請求、損害賠償請求を行うことができます。アマゾンや楽天等のマーケットプレイスで意匠権侵害等を行った販売業者に対しては、アマゾン側で侵害事業者の販売停止等の厳しい措置がなされます。

意匠権取得済であることをホームページ等で広く訴えかけることにより、未然にコピー品の販売を防止するといった抑止効果も期待できます。

もし、登録された意匠権を第三者が使用したいとなった場合は、実施許諾契約を締結することで使用を許諾できます。使用許諾の際の実施料については、交渉によって双方納得のできる金額で折り合いを付けます。

外国での意匠権取得を希望の場合は、出願してから半年以内に外国出願手続きを行います。ハーグ協定に基づく国際意匠登録出願であれば、複数の国に一括で意匠登録出願を行うことができ、費用削減、管理負担軽減といったメリットがあります。

弊所では、意匠登録出願が初めてというお客様も多く、原則としてWeb又は対面でのお打ち合わせをお願いしております。事務用品の権利保護をご希望の方は、こちらよりお問い合わせください。

【関連ページ】意匠登録出願について