独学のドローン国家試験の実地試験(①机上試験)

経緯

ドローンの2等無人航空機操縦士(基本)の実地試験を独学で受けてきました。ネット上には情報が少なかったので、実地試験を受けた感想とポイントを簡潔に記事にします(youtubeにはたくさんの動画がアップされています)。

試験の性質上問題文は持ち帰りができませんが、これから試験を受験される方が参考になるように当方で作った想定問題を掲載しますので参考にしてください。

これを見た皆様が、少しでも合格に近づくことができますよう祈念しています。

ドローンの操縦経験

ドローンの操縦経験は、10時間程度です。ドローンは、TELLO(RYZE)しか持っていないので屋内でスクエア飛行、8の字飛行、異常事態飛行を練習しました。試験のコントローラの感覚を掴むためにも、スマホではなくGameSirのT1dのBluetoothコントローラを使用購入しました。

試験機体であるPhantom4は、見たことも触ったこともありませんでした。DJIのソフトウェアの操作方法も全くわからない状態でしたが、Youtubeを駆使してイメージトレーニングで何とか合格できました。おすすめのYoutubeは後ほどご紹介いたします。

DJIのシミュレーションソフトウェアがあるようですが、当方のPCスペックでは思ったように動かなかったので結局使えませんでした。ご興味のある方は、以下からダウンロードしてください。DJIのドローンが無い人には、良いかもしれません。

【関連リンク】DJIフライトシュミレーター ダウンロードセンター

注意事項

実地試験では、ゼッケンを付けてヘルメットをかぶり、保護メガネを着用することが必須です。これらはすべて試験会場に用意されています。ただ、眼鏡の上から装着できない保護メガネの会場もあるようです。自分の試験会場では、眼鏡の上から装着できる大きなタイプでした。心配な方は、ネットで眼鏡の上から着用できる保護メガネを購入して持参しましょう。

試験会場には、飲み物をもって入れます。緊張しているせいか、非常に喉が渇いたので余裕をもった量の飲み物を持参しましょう。

屋内の試験会場の場合には広い体育館等であることが多く、冬場は特に冷え込みます。防寒着をしっかりと持っていきましょう。

試験は、1人30~40分程度かかるため、最後の人だと結構待ちます。自分の試験前には、トイレを済ませておきましょう。

当然ですが、試験中はスマホ・スマートウォッチの電源はOFFです。試験官がきちんとOFFになっているかを確認しますので、注意しましょう。

二等無人航空機操縦士 回転翼航空機(基本) 試験概要

国家試験である二等無人航空機操縦士の回転翼航空(マルチローター)の基本の実技試験では、以下の5つが実施されます。

  1. 机上試験
  2. 口述試験(飛行前点検)
  3. 実技試験(スクエア飛行、8の字飛行、異常事態における飛行)
  4. 口述試験(飛行後点検)
  5. 口述試験(事故、重大インシデントの報告およびその対応)

今回は、1の机上試験について細かく解説します。

机上試験について

机上試験の科目は、「飛行計画の策定」です。これは、試験実地細則に記載されています。そのほかに、実地試験の内容についても記載されていますので、必ず目を通しましょう。

【関連リンク】二等無⼈航空機操縦士実地試験実施細則

机上試験では、飛行計画が示されて以下の留意事項に関連する選択問題が4問出されます。

  1. 航空法の法令順守
  2. 安全確保の措置
  3. 機体の仕様、限界事項
  4. 自動飛行機能の設定(自動飛行する経路、危機回避機能の設定等)

試験時間は5分しかないため、飛行計画の情報量が非常く全てに目を通していると時間が足りなくなる可能性があります。試験のポイントは、最初に問題文を読み、問題文で聞かれている箇所を飛行計画から読み解いてその部分を集中的に読み込むこと、です。そうすることで、飛行計画全体を読む場合に比べて、大幅に時間短縮ができます。

航空法の法令順守

航空法の勉強は、「無人航空機の飛行の安全に関する教則」の8ページをしっかり読みましょう。特に以下の点です。

  1. どのような場合が特定飛行にあたるのか
  2. カテゴリーⅠ、ⅡA、ⅡB飛行の違い

例1

飛行計画では日の出時刻と日没時刻が記載されていて、実際の撮影時間が日没時刻の後だった場合には、夜間飛行となります。この場合はカテゴリーⅡ飛行となるため操縦者の技能証明書で問題ないか、を確認します。また、技能証明書を所持していない場合には、飛行の許可・承認が必要となります。

例2

飛行計画の地図を確認して近くでイベントがある場合には、催し物上空の飛行となる可能性があります。催し物上空の飛行は、カテゴリーⅡAの飛行であり、技能証明を受けた場合でも飛行の許可・承認を受ける必要があります。

例3

飛行計画の最大離陸重量が25kg以上であった場合には、例2と同じくカテゴリーⅡAの飛行となるため、技能証明を受けた場合でも飛行の許可・承認を受ける必要があります。

安全確保の措置

無人航空機を安全に飛行させるために留意すべき事項について問われます。地図に示されている飛行経路の周辺に安全を脅かす建造物が存在していなか、を確認しましょう。このとき「安全を脅かす建造物とは何か」を知識として持っておく必要があります。

例、電波塔、高層ビル、電柱、発電所、人が集まる場所・・・

例1

飛行計画の飛行地図を見て、周辺に高圧電線が存在している場合には、電波干渉によって制御不能となる可能性があるため注意が必要です。

問題例:飛行計画の地図で無人航空機の飛行を行う際に注意すべき建造物は何か?
①海 ②港 ③高圧電線 ④民家

例2

飛行計画の飛行地図を見て、周辺に高速道路が通っている場合には、人又は物件との距離が30m未満となる可能性があります。操縦者の技能証明書を確認し、30m未満の飛行が認められない場合には、注意が必要です。

機体の仕様、限界事項

機体の仕様は当日の撮影条件を満たしているか、が問われます。問題文を読めば確認すべき事項が記載されているため、順番に機体の仕様と当日の予想される条件を確認しましょう。

例1

機体の耐風性能5m/s、当日の予想風速5m/sとなっていた場合は、風速に注意が必要となります。

問題例 当日の飛行条件で留意すべき事項は?
①風速 ②気温 ③高度 ④最大離陸重量

例2

機体の動作温度が0℃~35℃で、当日の予想気温が35℃となっていた場合には、気温に注意が必要です。

自動飛行機能の設定(自動飛行する経路、危機回避機能の設定等)

自動飛行経路の設定について、聞かれました。フェールセーフの機能設定で、自動帰還に設定しておくことで通信が回復しなかった場合に予め設定したルート通りに自動帰還します。

今回の試験では、この内容を覚えておけば大丈夫でした。おそらくフェールセーフに関する問題だと思われます。

まとめ

以上、二等無人航空機操縦士(基本)の実地試験の机上試験について、解説を行いました。机上試験は1問間違えると5点減点です。実地試験は70点以上で合格なので、知識問題である机上試験は全問正解したいところです。

筆記試験を受験してそれほど時間が経っていない人であれば、「無人航空機の飛行の安全に関する教則」を読み返せば問題なく満点取れる内容だと思います。5分の試験時間は思ったよりも短いので、試験時間が足りなくならないように注意しましょう。