あるプログラムを開発したのですが、特許権と著作権ではどっちが良いのですか?
プログラムは、特許でも著作権でも保護することができます。しかし、保護する対象が同じであっても、実際に守られる内容は異なります。
著作権の場合
著作法では、プログラムの言語や規約、解法については権利が及びませんが、言語を使用したプログラムの具体的な記述における創作性については、著作権によって保護されます。
つまり、あるプログラムを動作させた際、インプットとアウトプットが同じであっても実際に内部で行われているプログラムの記述が異なる場合には、著作権は及びません。
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
…
九 プログラムの著作物
3 第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。
著作権によって保護されるプログラムというのは、極めて狭い範囲となってしまい実際上はデッドコピーを防止するという程度と思われます。従って、プログラムの模倣を防止し他社を排除するための武器として著作権を利用することは難しいでしょう。
しかし、プログラムはコピーが容易であるため、プログラムのデッドコピーを防止するという観点からすると、著作権を利用することは有効となります。
例えば、原則的に複製は著作権者しかできません。
(複製権)
第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
ここで、プログラムの複製物を所有している者は、必要と認められる限度において複製することができます。ここでいう必要と認められる限度とは、バックアップのための複製などが含まれると考えられます。
(プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等)
第四十七条の三 プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これにより創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる。ただし、当該利用に係る複製物の使用につき、第百十三条第二項の規定が適用される場合は、この限りでない。
また、第三者がインターネットを介してプログラムを送信する場合やインターネット上にそのプログラムをダウンロード可能な状態に置いた場合についても、著作権の侵害となります。
(公衆送信権等)
第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあっては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。
特許権の場合
特許についても、プログラムをソフトウェアの特許という形で保護することができます。特許の場合が保護する対象は発明であるため、特許で守れるものはプログラムの具体的記述内容ではなくソフトウェア(アプリケーション)を使ったアイデアとなります。
特許の出願書類には、具体的なプログラムの記述はなく、どのようなハードウェア(システム)によってどういうフローで何を実現するか?ということを中心に記載します。そして、これらのうちから、特許性のある部分を抽出して権利化を図ります。
つまり、実際の記述されているプログラムが異なっている場合であっても、特許として実現する内容が同じである場合には特許権の侵害となる可能性があります。
まとめると、デッドコピーを防ぐのであれば著作権、ソフトウェアを使ったアイデアを守るのであれば特許ということになります。
2017年5月27日
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