他社から商標を譲受けるとき
承継の形態
特定承継
特定承継とは、特定の第三者に権利を譲渡することです。他人の商標権を譲受ける場合には、商標権譲渡契約を締結します。口約束でも法律上は契約成立となりますが、後々のトラブル防止のために書面に残したほうが好ましいです。
一般承継
一般承継とは、会社の合併や分割、個人の相続等によって発生する権利の移転のことです。この場合にも、譲渡契約を締結することがあります。また、下記に述べる移転登録手続が必要となります。
特定承継と一般承継とは権利の移転が発生する状況の違いであり手続上の書類等が若干異なりますが、実際上はあまり差異がありません。
譲渡契約書
商標権譲渡契約書では、以下の事項に留意して契約を締結します。
- 移転する商標権又は出願の特定(原簿を見て確認)
- 移転登録手続の費用負担
- 対価とその支払い方法
- 実施権者の有無や共有者の有無の確認
- 取消審判などの係属の有無
取消審判とは、第三者によって商標権を取り消される可能性のある手続です。取消審判に継続している場合には、商標権の一部もしくは全部が取消となる可能性があります。
移転登録の場合には1件あたり少なくとも6万程度の費用が発生するため、多数の商標権を移転する場合にはそれなりの金額となります。様々なケースがありますが、譲り受ける側が負担することが多いように思います。
また、譲渡金額が1万円以上の契約書には、収入印紙の添付が必要となります。収入印紙の金額については、以下のリンクをご確認ください。
【関連リンク】印紙税額(国税庁)
名義変更手続
商標登録により生じた権利の名義変更
商標が登録になる前の移転である場合には、特許庁に「出願人名義変更届」を提出します。このとき、譲渡人(元の出願人)の捺印のある譲渡証書と、委任状が必要となります。
また、特許庁の印紙代として¥4,200が必要となります。以下に述べる移転登録では、印紙代が¥30,000となるため登録される前に名義変更したほうが金額的に安く済みます。
商標権の移転
商標権を移転する場合には、特許庁に「移転登録申請書」を提出します。このときも同様に、譲渡証書及び委任状が必要となります。また、法人から個人への移転等の場合には、利益相反とならないように取締役会の議事録等が必要となります。
【関連リンク】利益相反行為について(特許庁)
商標の移転や名義変更をお考えの方、もしくは譲渡契約等をお考えの方はこちらよりお問い合わせください。[insert page='tel' display='content' ]