特許法・意匠法の改正について
法改正の閣議決定
特許法・意匠法・商標法を改正する法律案が閣議決定されました。特に、意匠法に大きな動きがあったようです。
【関連リンク】特許法等の一部を改正する法律案(経済産業省)
特許法
特許法では、侵害の可能性がある場合、中立の立場にある専門家が相手方の生産現場への立ち入り調査等を行って裁判所に報告する手続が創設される見込みです。
特に、製造方法の特許については、生産方法の推定(特許法第104条)や具体的態様の明示(特許法第105条)等が規定されているものの、十分な権利の活用ができているとは言えない状況でした。
この制度の詳細はこれから明らかになると思いますが、両者のバランスを考えたうえで特許権の有効な活用を促し、侵害者の逃げ得にならないような制度であればと思います。
意匠法
意匠法では、過去のパブリックコメント等で公開されていた「意匠制度の見直し」において議論された、関連意匠制度の拡充や存続期間の延長が大きな柱となっているようです。
意匠登録出願は、年々出願件数が落ちてきているため何とか制度を拡充して意匠の有効性を理解してもらって件数を上向きにしたいところだと思います。
存続期間が出願から25年となりますが、意匠権は特許権よりも現存率(費用を払って維持している率)が高いこと、欧州では意匠は最長25年となっていることが考慮された模様です。
商標法
大学や自治体などの公益団体が自身を表示する著名な商標について、ライセンス許諾を認める制度が創設されます。最近では、大学や自治体のブランド化が進んでおり、第三者にライセンスすることによって各機関の独自性を出すことが促進されると思われます。
なお、2019年3月1日時点では閣議決定の段階であり、今後国会で承認されることで施行される見込みです。