銀行マンのための知財金融
背景
知財金融という言葉は、聞いたことがあるでしょうか。これは、金融業界で顧客の知的財産を評価することにより事業の強み・課題を把握し、必要な支援を行っていくという取り組みのことです。
ある程度の規模の中小企業であれば、だいたい特許権・意匠権・実用新案権などの知的財産権を所有しています。その知的財産は企業内でどのように活かされているか、あるいはどの分野で取得してるのかを見ることで今後の事業展開等を予測することができます。
これにより、売上や利益などの財務的な観点からだけではなく、複合的な視点から事業を理解することができます。事業分野が多岐に亘る会社の場合には、知財を取得している分野は今後積極的に製品開発をおこなっていく可能性が高いです。
金融機関の営業マンがこのような情報を把握してると、客先で円滑にコミュニケーションが進められるだけでなく、将来の事業に対する提案なども行うことができます。
顧客の知財状況の把握
J-Plat-Patの活用
顧客の所有している知財を把握するためには、特許庁が提供している無料のデータベース(J-Plat-Pat)を活用します。まずは、顧客の会社名の正式名称(〇〇〇株式会社等)を入力してみてください。また、会社名が途中で変更になっている場合には、変更前の会社名でも調べましょう。また、小さな会社の場合には、社長の個人の名前で出願しているケースもあります。
特許・実用新案だけでなく、意匠や商標についても調べてみてください。デザイン系の会社の場合には、多数の意匠を取得しているかもしれません。
【関連ページ】特許検索情報の見方
どこを見るのか
特許の書面は、慣れていないと読みづらいため、まずは表示された一覧のタイトルを見てください。おおよその分野や技術内容がわかると思います。また、より詳細に知りたい場合には、公開番号をクリックすると詳細が表示されるページに飛びますので、図面を見てください。発明のイメージがわくと思います。
最近になって、特定の分野での特許出願が増えているような場合には、力を入れている事業分野かもしれません。また、他の会社と共同出願している場合には、共同研究を行っていることが考えられます。
共同出願の相手が大手企業の場合には、もしかしたら自社で大部分を開発した製品であっても、知財の活用に慣れている大手企業と組んで特許出願を行っているかもしれません。人的なリソースに限りがある中小企業が知財の活用を普段から行っている大手企業と組むことで、競合の参入を効果的に抑止することができます。
特許の文章は慣れていないと読み難いですが、以下の項目を見ることで大まかな状況を把握することができます。
- 発明者
- 出願人(権利者)
- 発明の名称
- 図面
- 現在のステータス(特許権は成立したか、消滅していないか等)
特許庁では、金融機関の職員向けに知的財産活用のススメというパンフレットを作成していますので、ご興味のある方はご覧ください。
【関連リンク】知財金融ポータルサイト(特許庁)
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講義の内容についても、特許検索の仕方から、ヒアリング、顧客への提案など内容盛りだくさんとなっています。[insert page='tel' display='content' ]