意匠出願について
調理器具である包丁、まな板、ミキサー、トング、なべ、フライパン、ドリッパー等のデザイン・外観形状を保護するためには、意匠登録出願が有効です。意匠登録出願は、製品販売前、プレスリリース前に行う必要があります。公表後であっても、新規性喪失の例外の手続きを行うことにより、公開日から1年以内であれば出願が可能です。
包丁の一部が特徴的である場合、例えば、包丁の刃の部分に特徴があって柄には特徴が無いため刃の部分のみ権利化したい場合、部分意匠としての権利化を図ることが有効です。部分意匠の場合は、刃の一部(中央部分の形状など)を特定して権利化を図ることもできます。
包丁の刃の部分意匠の審査では、刃の形状に基づいて審査が行われるため、刃以外の柄の部分の形状が異なっても刃の形状が同一又は類似の登録意匠が存在する場合は、登録されません。他方、権利範囲は刃の形状で特定されるため、その他の部分の形状には左右されません。つまり部分意匠は、審査は通り難いが権利化できれば強い権利となります。
調理器具の種類と分類
調理器具である、包丁、まな板、ミキサー、トング、なべ、フライパン、ドリッパー等の意匠分類は、以下の通りです。
- C5-41100 なべ、両手鍋、ダッチオーブン、フライパン、土鍋、てんぷらなべ、サンドイッチプレス、たこやき焼き板、グリルパン、寸胴鍋
- C5-4410 まないた、チーズボード
- C6-212 しゃもじ、飯杓子
- C6-214 調理用へら、ロングターナー、ターナー、ふらい返し、スパチュラ、バターピーター、調理用刷毛、スクレーパー
- C6-215 トング、調理用はさみ具、焼肉トング
- C6-230 餃子成型機、クッキー型抜き、食品成形器、押出容器の絞り口、料理カッター
- C6-2330 製氷皿、おにぎり成型器、菓子用の焼き型、食品成形型、パン用焼き型
- C6-3110 包丁、出刃包丁、果物ナイフ、パン切り包丁
- C6-361 ドリッパー、コーヒーフィルター、茶こし、飲食用ポット、
出願に必要な書類等
意匠登録出願は、調理器具の図面又は写真で形状を特定します。従って、意匠登録出願を行う際には、調理器具の具体的形状が分かる写真、図面、又は現物が必要となります。出願から登録までの期間は、通常8~10か月ですが状況によって多少前後することがあります。
意匠登録出願から登録までの費用については、特許事務所によって異なりますが、概ね15~25万程度と思われます。弊所料金は、出願から登録までで概ね20万程度となっております。詳細については、こちらでご確認ください。
意匠登録の効果
意匠登録されることで、登録された包丁、まな板、ミキサー、トング、なべ、フライパン、ドリッパー等の調理器具と同一又は類似の商品を販売した第三者に対して差し止め請求、損害賠償請求を行うことができます。アマゾンや楽天等のマーケットプレイスで意匠権侵害等を行った販売業者に対しては、アマゾン側で侵害事業者の販売停止等の厳しい措置がなされます。
意匠権取得済であることをホームページ等で広く訴えかけることにより、未然にコピー品の販売を防止するといった抑止効果も期待できます。
もし、登録された意匠権を第三者が使用したいとなった場合は、実施許諾契約を締結することで使用を許諾できます。使用許諾の際の実施料については、交渉によって双方納得のできる金額で折り合いを付けます。
外国での意匠権取得を希望の場合は、出願してから半年以内に外国出願手続きを行います。ハーグ協定に基づく国際意匠登録出願であれば、複数の国に一括で意匠登録出願を行うことができ、費用削減、管理負担軽減といったメリットがあります。
弊所では、意匠登録出願が初めてというお客様も多く、原則としてWeb又は対面でのお打ち合わせをお願いしております。調理器具の権利保護をご希望の方は、こちらよりお問い合わせください。
【関連ページ】意匠登録出願について