特許事務所で図面化・試作品製造を行う利点

弊所には、アイデア段階でご相談にいらっしゃるお客様が、一定数いらっしゃいます。アイデアのみでのご相談だと、実現できるのか、形状は制作できるものか、などの疑問点が生じます。また、アイデアだけで出願すると、実際の量産体制に入ったときにアイデアと異なる点が出てくることで、実際の製品が権利範囲から外れてしまうリスクもあります。このような問題を回避するため、当事務所では出願前の段階における3次元図面化及び3Dプリンタによる試作品の製作のサービスを行っております。

特許事務所で図面化・試作品作成をすることの利点は、先行調査の段階で非常に近い特許や意匠が確認された場合、どのように改良すれば権利侵害を避けつつ権利化を図ることができるか、を随時相談しながら進めることができる点です。試作品の製作後に調査を行ったら、実は既に特許が取得されていて生産することができない、といったケースを回避できます。

*特許や意匠を出願する際は、その製品が登録できるか否かの先行調査を行います。

さらに、本サービスをご利用いただくことで、アイデア発想段階から試作品製作、並行して知的財産権の取得についても一括して行うことができます。また、特許事務所で試作品製作を行うことで、複数の外部機関に情報を開示する必要がなくなるため、情報漏洩リスクを下げることができます。

3次元の図面について

「イメージはあるけど具体的な形状にまで落とし込めない」、「市販のパーツを組み合わせて試作を作ったけど量産化できるか分からない」といった不安をお持ちの方は、一度3次元の図面化をご検討ください。3次元で立体的形状を把握することで、頭のイメージと異なる点などを把握し、更なる改良や修正を加えることが可能です。

3次元の図面は、あくまで試作品を製作するためのイメージ図となります。3Dプリンタで試作を制作できる程度の精度はありますが、量産化の金型を製作するときの公差などは考慮されておりませんので、ご注意ください。

3次元の図面化をご希望の場合には、以下の資料のいずれかをご準備ください。

  • 実際の形状がイメージできる資料(具体的であるほど良い)
  • 実際の試作品
  • 制作対象となる写真や映像

3次元の図面制作は、弊所での出願をお考えのお客様へのサービスとなります。図面化のみの業務は承っておりませんので、ご了承ください。

試作品(モックアップ)の制作

弊所では、3次元による図面化の後、制作した図面を基にした3Dプリンタによる試作品の製作を行うことができます。図面段階でアイデアを可視化し、試作品をご確認いただき改良等を行うことで、今後の量産体制への円滑な移行が可能となります。

積層することができるタイプの樹脂は、以下となります。

  • ABS・・・3Dプリンタで広く利用されており、安価ですが強度や耐久性が高い樹脂です。耐摩耗性や耐衝撃性にも優れているため、消耗品としての試作に最適です。また、加工後の加工も容易に行うことができます。ただし、造形中に反りや変形が発生する可能性があるとともに、対候性が低く日光が長時間あたる場所には不向きです。
  • PLA(ポリ乳酸)・・・形状安定性が高いため、冷却後の収縮や反りが発生し難く、3DプリンタでABSの次によく利用される樹脂です。他方、耐熱性が低く、60℃程度で軟化してしまうため、高温部でのパーツには使用できません。また、表面が固い素材であり、加工後の塗装や研磨がし難いです。表面の仕上がりは、若干積層跡が目立つ場合があります(研磨処理も可)。
  • カーボン・・・炭素繊維フィラメントは、強度が高く衝撃にも強く、耐熱性にも優れています。また、表面が綺麗な仕上がりとなり積層跡が目立ち難いです。ただし、PLAと比較すると樹脂の価格が高くなります。

複数回の試作品の製造についても、ご相談に乗ることが可能です。ただし、試作毎に料金がかかるため、予めご了承ください。費用については、個別のお見積となります。

ただし、3Dプリンタによる試作品の製作のため、金属や木材を前提とした試作品の製作はできません。そのときは、試作品の製造会社をご紹介させていただきます(相手先の業務状況によってはご紹介が難しい場合もあります)。

ご相談

料金等については、個別のお見積りとなります。目安となる費用は、以下の通りです。

3次元図面作成¥30,000~
3Dプリンタによる試作品製作¥30,000~

*複雑な形状や大型の試作品になると、金額が上がります。

試作品の製作では、複数回にわたり修正を行う場合があります。修正毎に別途金額がかかることとなります。また、3次元図面から試作品までの修正等も加味した対応も可能です。