特許・商標・意匠・著作権の違い
特許・商標・意匠・著作権の比較表
上記4つの権利は、以下の表に示すような違いがあります。不正競争防止法は、デッドコピーや有名な商品を保護することができます。
権利 | 保護対象 | 登録の有無 | 存続期間 | 登録までの期間・費用 |
特許 | 技術 | 必要 | 出願から20年 | 2~5年、70万~ |
商標 | ネーミング | 必要 | 登録から10年(更新可) | 半年、10万~ |
意匠 | デザイン | 必要 | 登録から20年 | 1年、20万~ |
著作権 | 美術・工芸品 | 不要 | 公表後50年間 | 自動的に発生 |
不競法 | 著名商品 | 不要 | なし | 不要 |
新たな商品を生み出した場合、その技術を真似されたくなければ「特許」、デザインを真似されたくなければ「意匠」、商品名を真似されたくなければ「商標」とそれぞれ守備範囲が異なります。また、複数の権利を取得することにより、一つの商品を複数の側面から保護することができます。
権利化までの費用が問題となるようであれば、著作権・不正競争防止法での対応も考えられます。ただし、著作権は保護対象が限られ、不正競争防止法は著名であるなど制約が多いことに留意してください。
特許と実用新案
特許の保護対象は、技術となります。上の表には記載しませんでしたが、実用新案でも技術を保護することが可能です。実用新案は、無審査で登録となり権利期間は出願から10年です。費用も20万~と随分安くなり、登録までの期間もおおよ3カ月となります。
特許の取得には多額の費用がかかりますが、中小企業等は、特許料の減免を受けることで費用が最大27万円減額されます(こちらでチェック)。また、自治体によっては特許取得に際して補助金を出しています。
【リンク】 日本弁理士会 補助金一覧
【関連ページ】特許と実用新案の違い
商標
商標とは、お店の店名や商品名、サービス名などを登録し、他人にそれらを真似されることを防止するための制度です。店名などは、使用するにつれてその名称に信用が積み重なってブランド化されてくるため、更新することで永続的に権利を保持できます。
名称の右下に「®」が付されていることがありますが、これは商標登録済であることの証です。商標登録されていることを示すことで、暗に他人に真似しないように注意を促しています。
【関連ページ】商標の表示の違い
意匠
意匠は、実用品のデザインを保護する制度です。意匠の保護対象は、完成品だけでなく、完成品に使用される部品であっても登録可能です。また、完成品の一部分に特徴がある場合には、その一部分だけを権利化することもできます(部分意匠)。
【意匠登録第1144364号】
靴の止め具の部分を部分意匠として登録しています。
【意匠登録第1292128号】
自動車ホイールの表面の凹凸を意匠として登録しています。
【参考資料】特許庁 意匠権活用マニュアル
著作権
著作権は、著作物が完成した時点で自動的に発生するため、登録などの手続は必要ありません。文化庁に登録手続をすることもできますが、権利者であることを証明するための手続となります。
著作権の保護対象は、純粋美術と同視しうるものであるため、製品デザインのすべてが著作権で保護されるわけではありません。意匠権と混同しがちですが、意匠権は実用化されるデザインを対象としています。
【関連ページ】意匠権と著作権の違い
不正競争防止法
不正競争防止法では、他社と混同するような著名な商品を保護することができます。ただし、以下の2点を証明する必要があります。
- どこかの地域で著名といわれるほど周知されていること
- 消費者が自分の商品と他社の商品を混同する可能性があること
また、デッドコピーについても不正競争防止法で保護されます。ただし、日本国内で製品を販売してから3年以内であることが必要になります。
どの権利で保護すべきか
それぞれ、保護対象が異なりますが、一部オーバーラップしているところもあります。例えば、デザイン性に優れ、且つ一定の技術的効果がある場合には、特許と意匠の両面で保護することが可能です。2つの権利で登録することは、「重複するため無駄」というわけでなく、「異なる側面からより強固に保護できる」とお考えください。
また、意匠と商標についてもそれぞれで保護可能な場合があります。例えば、ホンダのバイクのスーパーカブは立体商標として登録されていますが、昭和33年の発売当初は意匠としても登録されていました。