特許出願における委任状とは?

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委任状とは

委任状とは、「この人は、私たちの出願手続の代理人です」ということを証明する書面です。特許出願に必ず必要な書類というわけでははありません。特許事務所によっては、委任状が必要な手続をするときにもらう場合と、出願の依頼時にもらう場合とあるようです。

委任状が必要な行為

特許の出願、拒絶理由通知に対する応答、登録料の支払いなどの手続については、委任状は必要ありません。通常の手続であれば委任状は不要なのですが、以下の行為については委任状が必要になります。

  • 拒絶査定不服審判の請求
  • 国内優先権の主張
  • 出願の変更(実用新案登録→特許出願への変更など)
  • 出願の取下げ
  • 代理人の変更(中途受任)
  • 名義変更の手続

包括委任状

委任状は出願毎に必要となりますが、予め包括委任状を提出しておくことにより、個別に出す必要がなくなります。出願書面に包括委任状番号を記載することで、委任状の提出を省略できます。1つの特許事務所に包括委任状で手続を委任したからといって、別の特許事務所に依頼してはいけないということはありません。

包括委任状には押印が必要であり、既に包括委任状を提出している企業の場合には、既に押した印鑑と同じ印鑑を使用しなければなりません。別の印鑑を使用した場合には、包括委任状を再提出する必要があります。どの印鑑を使用したかわからなくなってしまった場合には、特許庁に登録してある印鑑を変更する手続をします。

いちいち委任状をもらうのは双方にとって手間なので、定期的に特許出願を行う場合には包括委任状を利用することが多いです。ただし、包括委任状を提出するということは、すべての案件についての行為を特許事務所に一任するということになります。企業によっては、使い始めたばかりの事務所は個別の委任状で対応するということもあるようです。

諸外国における委任状等

中国では、中国に営業所が無い場合には、委任状の提出が必要になります。通常、委任状は中国の特許出願時に提出します。日本と同様に、包括委任状の提出も可能です。

米国では、、現地代理人への委任状に加えて、発明者が自らが発明したことを示す宣誓書と、発明者から会社への発明の譲渡証が必要になります。ロシア、韓国、インド等の国ついても、委任状の提出が必要です。欧州では、委任状は必要ありません。