中小企業の知財と利益率について

特許出願の現状

出典:特許行政年次報告書2022(特許庁)

右側の円グラフは、日本の全企業数360万社における大企業数と中小企業数の割合です。御覧の通り、日本の99.7%は中小企業となっており大企業はわずかに0.3%です。

左側の円グラフは、全特許出願のうち大企業と中小企業の占める割合を表しています。企業数0.3%の大企業が、8割以上の特許を出願しているのが現状です。

特許の有無と利益


出典:中小企業の知的財産活動における基本調査(特許庁)

特許の有無と従業員1人あたりの営業利益のグラフを示しており、製造業はオレンジ、非製造業は緑で示しています。

製造業及び非製造業のいずれにおいても「特許あり」のほうが従業員1人あたりの利益率が高いです。特に、製造業では「特許あり」のほうの利益率の高さが顕著です。これは、継続的な開発等を行っていることが起因していると思われます。

出典:中小企業の知的財産活動における基本調査(特許庁)

特許の有無と営業利益率では「特許あり」及び「特許使用」の中小企業のほうが、大企業の利益率よりも高い水準となっています。数値的には、特許なしの企業と比較すると、利益率で1%高くなっています。

知財と利益

中小企業は知財で儲かっているのか、について説明いたします。ここで、儲かる、とは利益をあげることを意味しますが、知財で直接的に金銭を得るには以下の方法しかありません。

1.第三者にライセンス許諾してライセンス収入を得る

2.権利を第三者に譲渡して金銭を得る

3.権利の一部を持分譲渡して金銭を得る

この場合だと、いくら利益が出たかが数値として表れるので、出願から登録までの費用(約80万/1件)よりも高いか否か、簡単に判断できます。

しかし、知財で得られる利益は上記の目に見える利益以外にも、目に見えない間接的な利益があります。

1.後発の競合が知財によって模倣できずシェアを維持

2.競合が知財によって製品開発が遅れシェア拡大

3.特許製品であることの技術・ブランドの訴求効果による売上拡大

特許を取得している企業のほうが営業利益率が高いのは、間接的な理由が大きく寄与していると思われます。それ以外にも、特許を出願するような高い技術力を有しており、積極的な技術開発を行っている、という点もあると思います。

弊所では、特許出願が初めてというお客様も多く、詳細にご説明しご理解いただくためにWeb又は対面でのお打ち合わせを行っております。特許に関するご相談は、こちらよりお問い合わせください。

【参考情報】Tokyo IP Consulting(プロセスイノベーションが上場企業の経営指標に及ぼす影響)