公開特許公報の見方

特許公報を見る目的

特許公報を見るとき、様々な目的があるかと思います。今回は、以下のケースにおいて公開特許公報を見る場合には、どのような点に留意すべきかについて述べたいと思います。

侵害を懸念している場合

特許は登録されたか

特許出願は、1年6か月経過すると自動的にその内容が公開特許公報として公開されます。この公開特許公報を見ただけでは、この特許が登録されているか否かを判断することはできません。

以下のページに特許の検索等が記載してありますので、こちらをご確認いただき、その特許が登録されていて現在有効なものであるか、つまり現在生きている特許か、あるいは死んでいる特許かを判断する必要があります。

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間違いないのは、特許庁に出向いて登録原簿を取り寄せます。インターネットの情報に原簿が反映されるには、原簿に登録されてから2~3週間程度かかるため若干のタイムラグがあります。

出願日

特許が存在していることが分かった場合は、出願日を確認します。もし、侵害が懸念される自社製品の販売日が出願日よりも前であれば、先使用権という権利を主張することができる可能性があります。

先使用権とは、出願日よりも先に実施していたので特許が出願されて登録された後であっても、当然に製品の販売等を行うことができる権利です。

ただし、先使用権を主張するためには最初の販売等の日時を確定する必要があります。この立証には、一般にタイムスタンプや公証人による確定日付が利用されます。

請求の範囲の記載

もし、出願日のほうが先であった場合には、自社の特許侵害が懸念されている製品は特許請求の範囲(権利範囲)に含まれているかを判断します。

この判断は、文言侵害、間接侵害、均等論など多岐に亘って検討する必要があるため、専門家に相談するほうが間違いありません。

特許を取得できるかを判断する場合

特許を取得することができるかを判断する場合には、明細書や図面など隅々まで目を通し出願を行う予定の発明が記載されていないか、あるいは近い内容が記載されていないかを確認します。

もし、特許取得を希望する内容と同一内容が記載されていた場合には、新規性がないため特許を取得できません。近い内容が記載されていたとしても、進歩性が無いとして特許を取得できない可能性があります。

特許を取得できそうか否かは、専門家に相談して意見をもらったほうが間違いありません。

特許を譲り受ける場合

原簿の確認

現在、特許権が有効に存続しているか、及び特許権者は間違いなく譲渡人であるか、を確認するために特許庁で原簿を取り寄せます。インターネットでも情報は確認できますが、原簿での確認が確実で間違いがありません。

技術的範囲の確認

特許権の権利範囲を確認します。特許権を譲受けたとしても、あまりに権利範囲が狭すぎるため活用できないとなるとお金の無駄になってしまいます。

少なくとも自社で実施を希望している場合には、自社製品がその特許の技術的範囲に含まれているか、つまり製品がきちんと特許権で保護されているかを確認します。