地域特産品のブランドを保護する方法
地域団体商標
登録要件
地域団体商標とは、「地域名+品名」で商標登録を受けることができる制度です。例えば、松坂牛(松坂+牛)や草津温泉(草津+温泉)などがあります。通常、このような商標は独占使用させるべきではないとの理由から、商標登録できませんでした。しかし、地域活性化のために、以下の要件を満たす場合には、地域団体商標として登録が認められます。
- 事業協同組合(農協・漁協など)であること
- 構成員に使用させること
- 「地域名+商品名」の文字商標であること
- 隣接する県にまで知られていること(そこそこ有名であること)
平成27年3月時点で、全国で約600件ほど地域団体商標として登録されています。特許庁では、派遣員を派遣して地域団体商標の説明を行っています。交通費等も無料で出張説明をおこなってくれるようです。
【関連ページ】漁業協同組合の商標~地域団体商標の利用
農業協同組合の商標登録出願~地域団体商標の利用~
効果
日本全国で、その名称(「地域名+品名」)を独占的に使用することができます。もし、品質が劣る模倣品が販売された場合には、通常の商標と同様に差止請求及び損害賠償請求をすることができます。
地域団体商標は、10年毎に更新をおこなうことにより永続的にその名称を使用することができます。長年の使用により蓄積した信頼を確実に保護することができます。
登録された地域団地合商標である旨(Rマーク)を表示することで、商品の模倣を企てる者を牽制し模倣品の流通を減らすことが期待できます。さらに、地域団体商標登録済であることをアピールすることで、商品のイメージアップにつながります。
地理的表示保護制度(GI)
概要
平成27年6月1日より、地理的表示保護制度が始まりました。これにより登録される内容は、名称(「地名+品名」)と品質の基準です。申請時に、品質の基準を記載した明細書等の書類を提出する必要があります。
登録されると、GIマークと呼ばれるマークを付すことができ、正真正銘の正規流通品であることが示されます。GIマークは世界貿易機構(WTO)に基づいているため、外国に輸出する際は輸出先の国でも正規品であることが示されます。
【リンク】農林水産省 地理的表示保護制度(GI)
地域団体商標との違い
地理的表示保護制度は、地域団体商標と違ってすべて無料です。また、商標の場合には自らが侵害者に対して排除する手続(警告状の送付や訴訟)を行わなければなりませんが、地理的表示保護制度の場合は国(農林水産省)が主体となって不正な表示を取り締まります。
これにより、訴訟などの金銭的負担が軽減されます。
登録された後は、農林水産省が定期的にチェックを行い、きちんと生産工程が管理されているかを確認します。また、年1回以上実績報告書を提出しなければなりません。