他人の登録商標を使用したい場合
商標権侵害の可否
まず、自分が商標を使用することが他人の商標権の侵害となるか否かを検討します。商標権の侵害は、「商標」の類否と「指定商品・指定役務」の類否によって判断されます。つまり、ネーミングが同じ商標が登録されていても、そのネーミングを登録されている商標権とは全く別の商品に使用する場合には、侵害となりません。
まれに、「うちの商品名を他人が商標登録している」と相談があり、調べてみると「指定商品・役務」が異なっているため継続的に使用することは問題ないというケースがあります。ただ、この場合は他人の商標を出願される前に、自己が使用する指定商品・役務で商標登録を行うことをお勧めします。
「指定商品・役務」の類否については、商標公報の記載を見ればある程度判断することができます。しかし、「商標」の類否については外観・称呼・観念、及び取引の実情等により決定するため、画一的に判断することは難しいです。
一般的には、称呼が完全に同一であれば商標権を侵害している可能性はかなり高いです。この侵害を回避するためには、称呼を変える等の方法がありますが、どの程度変えれば侵害とならないかについては個別具体的な判断が必要となります。
使用するための方策
どうしても他人の商標権を使用したい場合には、以下のような方法が考えられます。
異議申立・取消審判・無効審判
その他人の商標権を取り消すという手続です。商標が登録され商標公報が発行されてから2か月以内は、異議を申し立てることができます。また、この期間が過ぎた後であっても、取消審判によりその商標権を取り消すことができます。
ただし、異議申し立てや取消審判、無効審判を請求することができるのは、所定の条件を満たした場合のみです。よく使用される取消審判は不使用取消審判と呼ばれるもので、商標権者が3年以上使用していない商標権を取り消すというものです。
また、異議申し立てや取消審判、無効審判はすべてのケースで請求できるわけではないため、これらの請求が困難である場合には以下の2つしか方法がありません。
ライセンス許諾
商標権者に連絡を取り、ライセンス許諾をしてもらうように交渉します。ライセンス料については、交渉次第ということですが3%前後が妥当な数値のようです。以下は、少し古い(H22)ですが帝国データバンクによる特許・商標のロイヤリティの調査結果です。
【関連リンク】ロイヤリティの実態把握(帝国データバンク)
譲受け
商標権者と交渉し、商標権を譲受けます。実際に商標権者が使用している場合には不可能ですが、使用していないけど3年経過していない場合には、交渉する余地があります。金額については、交渉次第となるでしょう。
弊所では、商標権に関する権利化から活用までのトータルサポートを行っております。商標の使用やライセンス契約、譲渡等に関する相談については、こちらからお気軽にお問い合わせください。[insert page='tel' display='content' ]