種苗法とUPOV条約

UPOV条約

UPOV条約とは、新たな種苗を保護するための国際的な条約であって日本を含む75カ国が加盟しています(2019年時点)。欧州では多数の国が加盟していますが、アジア圏における主な加盟国は、日本、中国、韓国、シンガポール、タイ、ベトナムとなっています。

【関連ページ】 UPOV membership

UPOV条約では、各国における最低限の取決めが規定されているのみであり、育成者権(種苗法によって保護される育成者の権利)については各国ごとに取得する必要があります。つまり、国際的に一括で育成者権を取得できるというものではありません。

UPOV条約(91年法)によって定められている主な項目は以下です。

  • 内国民待遇(第4条)
    →自国民に対して付与する権利と同等の権利を加盟国の国民に対しても付与すること
  • 優先権(第11条)
    →加盟国に出願してから1年以内に他の加盟国に出願すると先の出願日の利益を得られる
  • 育成者に関する権利(第14~16条)
    →種苗の独占的な使用、私的使用の除外、権利消尽

育成者権は、種苗だけでなく種苗によって得られた収穫物に及ぶとされており、収穫物については植物全体である場合又は植物の一部である場合も含みます(第14条)。

【関連リンク】植物の新品種の保護に関する国際条約 1991年法(特許庁)

外国での権利取得

日本で育成者権の出願を行ってから1年以内に権利取得を希望する加盟国に出願手続を行います。権利取得のためには新規性が要件となっていますが、日本で公知になってから1年以内であれば加盟国に出願することができます。

外国で育成者権が登録されると、第三者は登録された種苗や収穫物の生産・輸出・輸入などの行為を行うためには育成者権者の許諾が必要となります。保護期間は、UPOVでは20年未満であってはならず、樹木やぶどうは25年未満であってはならないと定められています(第19条)。

助成金について

実際に外国で育成者権を取得しようとすると、試作や栽培などでかなりのお金がかかります。農水省では、海外品種登録出願経費支援として、定額または費用の1/2の支援を行っています。公募の締め切りは、2019年1月31日となっています。

【関連リンク】海外品種登録出願経費支援の公募について